【生豆からコーヒーを淹れるまでの方法とは?】焙煎や豆の保存方法も解説
生豆とは?
「生豆」は、焙煎される前の生のコーヒー豆のことを指します。これは、コーヒーの果実を精選し、外皮・果肉・内果皮を取り除いた状態です。なお、一般的な読みは「きまめ」ですが、コーヒー業界では「なままめ」と呼ばれることが多いようです。
主に生産地から輸出され、ロースターやコーヒー豆販売業者によって焙煎されます。生豆は収穫された年度によって分類され、当年度のものはニュー・クロップまたはカレント・クロップ、前年度のものはパスト・クロップ、それより前のものはオールド・クロップと呼ばれます。
ちなみに、生豆は産地や精選方法によって色や形に違いが見られます。黄色や緑がかったもの、細長いものなどさまざまです。
生豆からコーヒーを淹れるまでの方法
生豆を自家焙煎してコーヒーを淹れるにあたっては、焙煎前の準備が大事です。具体的には、以下の4ステップが必要です。
- 欠点豆を取り除く(ハンドピック)
- 焙煎する
- 豆を挽く
- ドリップ(抽出)する
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
1. 欠点豆を取り除く(ハンドピック)
生豆には、欠点豆と呼ばれる、変形や変色、虫食いなどがある豆が混ざっていることがあります。欠点豆を取り除かないと、味や香りに悪影響を与えるため、事前に取り除きましょう。
欠点豆を取り除く方法は、ハンドピックと呼ばれる手作業で行います。豆を1粒ずつ手で確認しながら、欠点豆を取り除いていきます。
なお、欠点豆の特徴は、以下のとおりです。
欠点名 | 特徴 | 影響 |
黒豆 | 黒く変色していて、一般的に小さい。 | 不快なフレーバー・色むらが出る。 |
発酵豆 | 赤みを帯びている。 | 不快なフレーバー。 |
カビ豆 | 生豆表面のカビを肉眼で確認できる。 | カビ臭が出る。 |
貝殻豆 | 貝殻のようにくぼんだ形状。 | こげやすい。苦味が出る。 |
虫食い豆 | 虫食いの跡がある。 | 色むらや不快なフレーバーが出る。 |
未成熟豆 | 粘着性の銀皮で、メタリックな緑色。 | 色むら、収斂味(渋み)が出る。 |
フローター | 水に浮く。 | 不快なフレーバー。 |
しわ豆 | 表面に深いしわがある。 | 不快なフレーバー。 |
以下の「コーヒーの欠点豆の見分け方」もぜひ参考にしてください。
2. 焙煎する
焙煎は、生豆に熱を加えて、コーヒー豆の風味や香りを引き出す工程です。焙煎することで、生豆の中の成分が分解され、独特の香ばしさや酸味といった味わいが生まれます。
自宅で焙煎を行う場合には、いくつかの方法があります。たとえばフライパンを使う方法は、生豆へ均一に火を通せる手軽な方法です。火力の上げすぎに気をつけながら焙煎しましょう。連続的に8の字にかき混ぜつつ、適度にフライパンをあおってコーヒー豆を動かし続けるのがコツです。
その他にも、片手鍋、手網焙煎器、手回し焙煎器といった道具もあります。いずれも自宅で焙煎をする際に役立ちます。より本格的に、かつ安定した焙煎度合を求めるのなら、自家焙煎機もおすすめ。通販サイトなどでも購入できるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
なお、焙煎度合によって、コーヒーの味や香りが大きく変わります。焙煎度合による変化については、「【コーヒーとは。】収穫から焙煎、種類の違いについて」で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
3. 豆を挽く
コーヒーの成分を抽出しやすくするために、豆を挽きます。挽き方は、ドリップやフレンチプレスなど、抽出方法によって異なります。たとえばコーヒーメーカーを使う場合は、中挽きがおすすめです。以下のグラインドマップもぜひ参考にしてください。
※この表は、ドトールコーヒーショップでの粒度目安です。
なお、豆の劣化を防ぐために、飲む分だけ挽くのがおすすめです。豆は挽かれると空気に触れる面積が増え、酸化が進みやすくなるからです。挽いた後は、できるだけ早く淹れるようにしましょう。
なお、コーヒーミルがついている全自動コーヒーメーカーを使用する場合は、豆の粉砕から抽出までを自動で行ってくれるため、手作業で挽く必要がなく便利です。
豆の挽き方について、詳しくは「【味わいは変わる?】コーヒー豆の挽き方に関する基礎知識」もぜひご覧ください。
4. ドリップ(抽出)する
コーヒーの抽出にはさまざまな方法がありますが、もっともポピュラーなものとしてハンドドリップがあります。具体的なハンドドリップの方法については「【ハンドドリップに挑戦!】ホットコーヒーのおいしい作り方」をご覧ください。
生豆の保存方法
生豆をおいしく保存するためには、以下のポイントを押さえましょう。
- 収穫時期を確認し、新鮮なものを選ぶ
- 直射日光や高温多湿を避けて保存する
- 厚手の紙袋か密閉性の高い缶で保存する
これらのポイントを押さえることで、生豆のおいしさを長く保つことができます。
生豆は長期保存できる
生豆は、一度焙煎してしまうと劣化が進みます。一方、生豆の状態なら、年単位で保存できます。収穫から2年程度が目安となるため、豆の購入時に収穫時期を確認すると良いでしょう。
直射日光を避けて風通しの良い場所で保存する
生豆は、直射日光や高温多湿に弱いため、直射日光を避けて風通しの良い場所で保存しましょう。なお、厚手の紙袋か密閉性の高い缶などに入れると、湿気や異臭を防ぐことができ、常温で保存できます。
冷蔵庫で保存も可能
直射日光や高温多湿を避けられる保管場所が用意できないなら、密閉容器に入れて冷蔵庫で保存することも可能です。保存時はにおいが移らないよう、密閉容器の口をしっかり閉め、冷蔵庫の野菜室に入れてください。また、冷蔵庫から取り出した後は結露が起こることがあるので、密閉状態でしっかり室温まで戻すよう注意しましょう。
コーヒーに詳しくなって、もっと楽しいコーヒーライフを
生豆を購入し自家焙煎をしてコーヒーを楽しむ、という方はそこまで多くないでしょう。しかし、コーヒーに関する知識として知っておくと、普段飲む一杯についても、より想いを巡らせることができます。こうした知識を身につけて、より楽しいコーヒーライフをお送りください。