CONCEPT

コンセプト
梟書茶房のはじまり
砂山は、小さな小さな砂粒からできています。もしも、気まぐれに、そこから数粒の砂を除いても、砂山は変わらず、砂山のままに見えますね。
さてその行為を、何度も繰り返したらどうなるでしょうか。最後に一粒だけの砂が残されているときに、我々はそれを「砂山」と呼べるのでしょうか。
いえ、まさか。それは砂山ではありませんね。ではでは、砂粒が何粒だったら、それを砂山と思えるのでしょうか?砂山が砂山に見えるための最小の砂粒の数が、どこかに存在するのでしょうか?
この設問は「砂山問題」と呼ばれ、論理・哲学などを考えるときに引き合いに出されます。概念を構成する最小単位を考えるのは、とても興味深いことです。
梟書茶房を作った二人の男は奇矯です。菅野眞博は「珈琲」を、柳下恭平は「本」を、それぞれに偏愛し、彼らは人生という砂山から、それらが取り去られれば、どれだけ大量の砂粒が残っていても、それを人生と呼びません。
その偏愛の二人が出会い、本と珈琲の魅力を伝えようとして作ったお店が梟書茶房です。ここは、書房でしょうか、茶房でしょうか。融合したそれを、彼らは「書茶房」としました。
ここがどのような場所なのか、皆さま、ぜひぜひ、お越しくださいませ。
ふくろう文庫について

ふくろう文庫は、僕たちがオススメしたい本ばかりを集めた本棚です。一冊一冊に感想とオススメの理由を書きました。だからというわけではないのですが、題名や装釘は、なんと隠してしまいます。あら、ちょっとやりすぎでしょうか? でもね、本が好きで、本屋も好きで、普段から本を習慣的に読む人は別として、世界の大抵の人は、そもそも読書の習慣を持たないのじゃないかなって、僕は思うのです。そもそも本屋さんに来ない人もたくさんいるだろうし、世の中には楽しいことが多すぎるから。

くるしまぎれのヤケクソに、という訳じゃあないのですけれど。それでも、本はおもしろい。普段、本を読まない人に、本屋さんに来ない人に、どうすれば、この魅力を伝えることができるだろうか、と考えたら、ふくろう文庫になりました。どんな本か分からないかわりに、本の数は、これまで知っている本屋さんよりも、ずっと少ない。どうです? すごいでしょう?なんて、在庫量の少なさを自慢する店舗なんてナンセンスですね。でも、そもそも、「本が多すぎる!」っていう皮肉にも、そろそろ、僕らは気付いてもいいんじゃないかな。実はこれまで書かれた名作を読むだけでも、人生が七回も必要なくらいで、かくも世界は文字にあふれている。本の量が少なく思えるかもしれないけれど、安心してください。このお店の本を全部買い占めて、三日に一冊の調子で読んだとしても、全部読みおわるまでには十五年ちかくかかりますから。もしも、あなたが、無人島に流されることがあったならば、そのときこそ、この本棚のことを思い出してくださいね。すべてを知る必要はないし、どうせ、そんなことは不可能です。在庫量の少なさは、つまり、「選びやすい」っていうことかもしれませんよ?

ろんより証拠。どれでも、ふくろう文庫を手に取ってみてください。そこにはまず、本の通し番号が入っています。そしてその本の魅力を伝える文章もあるでしょう。数冊手に取ってみれば、きっと気になる推薦文が見つかるはず。この本棚を岩壁に見立ててクライムをはじめるなら、その本は最初に指をかけるための確かな隙間です。長年の読書人にとっては、自分が読む本を探すところから読書がはじまります。しかし、習慣的に読書をしないなら、次の本を探すことが、そもそもなじまないかもしれません。ふくろう文庫では、読みおわった後に、「次に読むならばオススメの本」を紹介しています。すべてのふくろう文庫は、読後のリンクが円環になり、時に分岐して、傾向やジャンルを跨いで、本が多すぎる世界から隔離された、小さな世界を作っています。ふくろう文庫は知らない本と出合うための本棚なのです。

うん、最後に、ふくろう文庫の由来を。版元が編集者が装釘家が、愛情を込めて作った本たちに、まず、ブックカバーが巻かれています。そして、不思議な書誌情報と推薦文が同封されて、最後に袋でとじてあります。ふくろとじ。ふくろうとじ。ふふふ。駄洒落ですよ。

ふくろう文庫の選び方
  1. 1本のナンバー。ふくろう文庫の書籍はNo.0001~No.1231です。
  2. 2装丁も題名も隠された本を買うための唯一の手掛かりです。あなたのインスピレーションに「ビビッ」と来たら迷わず購入することをお勧めします。さあ、冒険のはじまりです。
  3. 3本を読み終えたら、必要になる部分です。捨てずに取っておくこと!読んだ感想に近い方のナンバーが次のふくろう文庫へのお誘いです。
  4. 4大切なあの人へ、本好きな方もそうでない方にも、プレゼントの指標としてご活用ください。
  5. 5本の価格(税込)です。

本と珈琲のセット
本の中身大公開!Special

梟書茶房オープンより大好評を頂いております「本と珈琲のセット
数量限定での販売のため、見逃していたあなたのためにこれまでのセットをすべて公開していきます!
※本と珈琲のセットとは?
梟書茶房が誇る二人の賢者、珈琲賢人「菅野眞博」と、ブックマスター「柳下恭平」が手を組み毎回異なるテーマをもとに、珈琲をブレンドし、本をチョイスするという企画です。
オリジナルでブレンドした珈琲からテーマを見つけたり、本のチョイスからテーマが決まったり二人のマイスターの攻防が繰り広げられていたりします?!
本の中身公開 No.12「エピローグ」
背表紙
テーマ
エピローグ
販売期間
2018.7.11~2018.8.3
大長編ドラえもん6 のび太の宇宙小戦争
著者:藤子・F・不二雄 出版社:小学館コロコロ文庫
珈琲
ケニア、グアテマラ
ケニアのコーヒー豆は樹上でじっくり熟れたアプリコットやピーチのようなフルーティさとビターチョコレートの様な芳醇で複雑な深みのあるコクが特徴です。

甘味 ●●●●〇
酸味 ●●●●○
苦味 ●●●○○
香り ●●●●〇
開発裏話
柳下恭平:ついにファースト・シーズンが終了!かといって、これで終わりではありません。だから、終わらない作品でいこうと思いました。初めは、手塚治虫先生の未完の遺作『ネオ・ファウスト』が頭をよぎりましたが、あおりにあるように「終わりではない」ドラえもんを選びました。それにこの作品はなんと連載当時、「大長編ドラえもん」シリーズで唯一ラストシーンが袋とじになっていたんです。
ふふふ、最後にはやっぱり、駄洒落ですよ。セカンド・シーズンも、よろしくお願いします。
菅野眞博:第1弾の孤独から始まり、第12弾のエピローグでシーズン1が終焉を迎えました。1年があっという間に過ぎて、毎月の"本と珈琲用"のブレンドを考えるのが楽しみのひとつになりました。今までさまざまな生産国のコーヒー豆を使用してきました。グアテマラ、インド、エチオピア、ブラジル、キューバ・・・それらの風味はまったくの別物であるからこそ、"個(シングルオリジン)"として楽しまれるまでに昇華し、人々を魅了してやまない飲み物になっていると思います。
コーヒーをツールとしてみなさんにもっと圧倒される体験を感じていただきたく、今回はケニア産のコーヒーをブレンディングしました。
ピーチやアプリコットを思わすフレッシュな酸味は圧巻です。その明るさはエピローグに相応しいと思い、第12弾のコーヒーの主役にしました。
バックナンバー
本の中身公開 No.1「孤独」
本の中身公開 No.1「孤独」
背表紙
テーマ
孤独
販売期間
2017.06.30~2017.07.02
ぼくのともだち
著者:エマニュエル・ボーブ 翻訳:渋谷豊 出版社:白水社
珈琲
エチオピアイルガチェフェ、グアテマラアンティグア、他
ビスケットの様な香ばしさ、ジャスミンの様な華やかさが混在。温度の違いによって変わる風味をお愉しみください。
甘味 ●●●●○
酸味 ●●●○○
苦味 ●●○○○
香り ●●●●○
開発裏話
柳下恭平:本に合わせて珈琲をブレンド、あるいは、珈琲に合わせて本を選書するこの「梟叢書」という試み。まさに「本と珈琲の出合い」の象徴のメニューです。
読む行為も飲む行為も、一人でしかできません。だからこそ梟書茶房には図書館の勉強部屋みたいな、一人で過ごす空間があります。そこで、「本と珈琲」を楽しむ独りの時間を大切にしてもらえたらいいなと思い、このテーマを、「孤独」としました。開店後すぐに完売し、うれしい悲鳴を上げた記念すべき1セット目でもあります。(ごめんなさい、反省してます!)
菅野眞博:正直、なぜグランドオープンなのに?という想いは否めませんでした・・・(笑)。ですが柳下さんから「孤独」というお題をいただいたときにうんうん唸りながら、珈琲を作り上げていくその行為は、まさに「孤独」だと気が付かされました。
最初で、本とそのテーマという形のないものを「味」という形に落とし込む作業の大変さに、ちょっとだけ後悔したのは内緒のことです・・・。
(今は愉しんでやることも覚えましたが!)
本の中身公開 No.2「偏愛」
本の中身公開 No.2「偏愛」
背表紙
テーマ
偏愛
販売期間
2017.07.15~2017.08
バンマリーへの手紙
著者:堀江敏幸 出版社:中公文庫
珈琲
キューバ、ブラジル、他
胡桃などのナッツ類を思わせる優しい風味と、ミルクチョコレートの様なまろやかな甘みが特徴のブレンドです。
キューバ産コーヒーを配合しているからこそ成せる風味を堪能ください。
甘味 ●●●●○
酸味 ●〇〇○○
苦味 ●●●○○
香り ●●●●●
開発裏話
柳下恭平:なにか人やモノを偏って愛することを偏愛と言いますが、梟書茶房は本と珈琲、それぞれの偏愛者から生まれた場所です。
 さてこの本をイメージした珈琲を飲ませてもらったとき、とっても驚きました。だって珈琲が、ミルクみたいな質感とまろやかさを持っていたから。そして珈琲の話をするときの菅野さんの眼差し。
聞いている方も思わず嬉しい気持ちになりました。偏愛とは偏った愛と書くけれど、だからこそその世界に人を招き入れ、驚きと喜びを与えることができます。みなさんにもこのセットでこの驚きを共有できたらうれしく思います。
菅野眞博:“牛乳は噛んで飲む”、このエッセイ集に登場する女性教師は牛乳に対するただならぬこだわりがありました。
それは、私がもっている珈琲に対するこだわり、愛情と同一のものを感じられるほどでした。
それなら私が愛してやまないキューバの珈琲だ!と思い立ち、ブレンドを開発しました。
第1弾が予想以上に売れて、時間もあまりない中での第2弾でしたが、「偏愛」という良いお題を頂いたので本当は大切にしまっておきたい最高のキューバ産珈琲を使用せざるを得ませんでした(笑)。
本の中身公開 No.3「寂寞」
本の中身公開 No.3「寂寞」
背表紙
テーマ
寂寞
販売期間
2017.08~2017.09
ふくろうくん
作・絵:アーノルド・ローベル 訳:三木卓 出版社:文化出版局
珈琲
インドネシア、グアテマラ
ビターチョコレートの様な重厚な飲み心地と、マンデリン特有の甘みの伴ったハーブの様な風味が楽しめるブレンドです。
甘味 ●●●●○
酸味 ●〇〇○○
苦味 ●●●●○
香り ●●●〇〇
開発裏話
柳下恭平:梟書茶房がOPENして1ヶ月も経っていない頃、気づきました。「あ!梟書茶房の本は”ふくろう”文庫なのに、『ふくろうくん』を入れていなかった!」という驚愕の事実に。池袋というキーワードでは仕掛けをいくつか入れたけれど、まさかこの本を入れていなかったとは!でもでも、一人でひっそりと楽しむことができるあんなにも素敵なブレンドが出来上がるなら、梟叢書として選ぶことができて良かったと思います。アーノルド・ローベルの優しい絵と寄り添うような文章は都会の喧騒の中で読むときにこそ、静けさを感じさせてくれるものなのかなあ、と気付かされたセットです。
菅野眞博:この絵本のタイトルを聞いたときは驚きでした。梟書茶房にぴったりのタイトルですね。
ただ、内容はタイトルからは想像できないほど、ひっそりとしていました。ブレンディングの工程もまた1人の世界に没頭し、ひっそりと続ける作業なんです。何が正解なのか、美味しいだけではだめだ、人の心に感動を呼ぶような美味しさをつくらなければ!という試行錯誤の繰り返しです。
「寂寞ブレンド」はふくろうくんが自分の泪をためて作ったお茶を飲むシーンからヒントを得てミネラル感を感じられる味わいを演出しました。ぜひまた皆さんにご提供して感想を聞きたい珈琲です。
本の中身公開 No.4「客気」
本の中身公開 No.4「客気」
背表紙
テーマ
客気
販売期間
2017.09~2017.11
アルケミスト Anniversary Edition
著者:パウロ・コエーリョ 訳:山川紘矢+山川亜希子 出版社:株式会社KADOKAWA
珈琲
インド、コロンビア、他
アプリコットの熟した甘さを思わす濃厚な味わいのあるブレンドです。ほのかな酸味を効かせることによりトップにフルーティさを呈します。
甘味 ●●●○○
酸味 ●●●○○
苦味 ●●○○○
香り ●●●○○
開発裏話
柳下恭平:『アルケミスト』は、通常の文庫版もあるのですが、今回はアニバーサリー・エディションと言って、ハードカバーで覆われたものを選びました。梟書茶房で販売しているふくろう文庫は、よくプレゼント用に購入されている方がいらっしゃいます。
本と珈琲のセットである梟叢書も、プレゼントだと思います。それは、だれかにあげる大切な意味をもつだけではなく、読書のためだけの時間を、自分へのご褒美として贈るという意味もあります。だから、少し贅沢な装丁のこの本を選びました。菅野さんがわくわくして作ってくれた珈琲と、それに合わせて選んだ本。本と珈琲のセットを注文して、自分のための時間を過ごしていただけたらうれしいです。
菅野眞博:客気とは、物事にはやる気持ち。叢書ブレンドは、本とテーマが柳下さんから投げられたら、それを受けてから考えていました。
このときは、こちらから先にブレンドを決定し、それに合う本を選んでもらいました。毎回、先にお題がきて慌て、苦しむ感覚を柳下さんにも味わってもらおうと…(笑)。インドを訪問した際に1本のコーヒーの木に魅了されたことを今でも鮮明に思い出せます。早く焙煎してのんでみたい。そんな客気にかられる気持ちも貴重な体験でした。
本の中身公開 No.5「楽園」
本の中身公開 No.5「楽園」
背表紙
テーマ
楽園
販売期間
2017.11~2017.12
69 sixty nine
著者:村上龍 出版社:文春文庫
珈琲
インド、コロンビア、他
金木犀のような清楚でいて香り高いブレンドです。ほんのりと苺の味わいを感じることでホリデーシーズンを想起させます。

甘味 ●●●○○
酸味 ●●●●○
苦味 ●○○○○
香り ●●●●●
開発裏話
柳下恭平:「楽園」がテーマの珈琲を頂いた時、驚きました。 華やかでハッピーなものがくるのかなあ、なんて思っていたから、菅野さんの表現する「楽園」に、驚いたのです。そこにはさまざまな香りが複雑に絡み合い、交錯している。きっと「楽園」に出会う瞬間を知っているから作れる味なんだと思いました。だから本も同じように選んだんです。しかし、テーマを聞いて飲む珈琲は面白い。その人の哲学が覗けるような気がします。
つまり本を選書することも、自分の哲学が覗かれているということ。自分だったらこれを選ぶな、なんて考えてみるのも面白いかもしれませんね。
菅野眞博:前回に引き続き、テーマは私から柳下さんに投げかけて始まりました。楽園って単純に考えると楽な場所と想起されがちですがそうじゃないなと思っています。私にとって、珈琲に関わることは本当に天職だと考えていますが、逆にそれが原因で苦悩が続く日もあります。
その苦悩を差し引いても、やりがいや生きがいを見出せるのは、本当にコーヒーが好きだからなんでしょうね。
楽園をイメージした珈琲は、どこか異質で普段の珈琲と異なる風味を表現しています。
珈琲が好きな人が飲んでも、一呼吸の間でも、この珈琲に違和感を感じてほしいから、そうしてみました。
本の中身公開 No.6「祝杯」
本の中身公開 No.6「祝杯」
背表紙
テーマ
祝杯
販売期間
2018.1.5~2018.2.8
フェルマーの最終定理
著者:サイモン・シン 訳:青木薫 出版社:新潮社
珈琲
エチオピア、グアテマラ、他
レーズンやドライイチジクの様にずっしりと感じる濃厚さと"程よい苦味が心地良い珈琲。透明感のある華やかな風味が特徴です。

甘味 ●●●○○
酸味 ●●●○○
苦味 ●●●○○
香り ●●●●〇
開発裏話
柳下恭平:どちらかがテーマを出し、表現をしてそれを表現で返すという行為の梟叢書。テーマはいつも熟語であることが多いですが、この回では「祝杯」という言葉から、ひとりでする「祝杯」へ結びつけました。「これが祝杯?」と思った方もいらっしゃったかもしれませんね。
華々しい物語のイメージから、静かな情熱を放つノンフィクションへ。言葉とイメージの可能性を広げてくれた回でもあります。
菅野眞博:新年の第一弾として祝杯を販売しました。私がイメージした祝杯は静かに喜びを噛みしめて行うものでした。
新年って毎年せわしなく過ぎていきますが、普段の慌ただしさとは質が違うように思えたからです。そのため、深煎りのブレンド珈琲に浅煎りのモカをミックスすることで、喜びを噛みしめているずっしり感と、心躍っている軽やかな感を表現しました。
そんなイメージを見事に柳下さんは珈琲を飲んだだけで察してくれて、本の選定に反映してくれてました。さすがとしか言いようがないと思ったのが懐かしいです。
本の中身公開 No.7「独創」
本の中身公開 No.7「独創」
背表紙
テーマ
独創
販売期間
2018.2.9~2018.3.17
人間昆虫記
著者:手塚治虫 出版社:講談社
珈琲
エチオピア、グアテマラ、他
ベルベットの様なボディ感に、ぶどう酒を思わす風味とビターな香りが広がりますが、ブラックカラントの様な酸味が印象を和らげてくれます。

甘味 ●●●●〇
酸味 ●●●○○
苦味 ●●●○○
香り ●●●●〇
開発裏話
柳下恭平:梟叢書は、珈琲とのセットメニューなので、価格や商品在庫のこと考慮して選書も枠が狭まりがちです。いままで小説、絵本、エッセイ、などで選書してきましたが今回はコミックを選んでみました。文学性の高い手塚治虫作品の中でも、物を創り出すことについて考えさせられる『人間昆虫記』を選び、テーマを独創としました。珈琲のブレンドを創り出す人に独創というテーマをお渡しするなんて、少し挑発的かもしれないな、なんて思いましたが、さすが菅野さん。見事に独創的な珈琲へと昇華させてくれました。
ああ、もう一度飲みたいなあ。
菅野眞博:独創は奇抜とは異なります。だからこそ、オリジナリティを出すことが難しい。他人に受け入れられて、初めてオリジナルになるから。
発想と試作の反復作業で珈琲の味を決定していってますが、中には奇抜な配合をしたものもあります。しかし、美味しくない。これではだたの独りよがりでオリジナリティからは程遠いと思い、配合は極力シンプルにしました。グアテマラとエチオピアを使って、焙煎度合いを極度に差をつけ、その落差にオリジナルを表現したわけです。
個性的な風味もありながら、でも味のバランスの調和がとれた珈琲に仕上がったと思います。
本の中身公開 No.8「編集」
本の中身公開 No.8「編集」
背表紙
テーマ
編集
販売期間
2018.3.18~2018.4.18
gift
著者:古川日出男 出版社:集英社
珈琲
エルサルバドル、グアテマラ、他
春の日差しに心はやる気持ちを、より心地良いものにできるようなブレンドを考案しました。ローストナッツの様な軽やかで香ばしい風味、加えて大地を感じさせる力強い味わいは、あなたの読書に対する没入感を高めてくるはずです。

甘味 ●●●○○
酸味 ●●〇○○
苦味 ●●●○○
香り ●●〇〇〇
開発裏話
柳下恭平:第8弾は、少し春の陽気が感じられるようになった気候で、外でも気軽に読めるものがいいなあと思いました。
そして菅野さんのブレンドした珈琲を飲んでこの短編集にしたのです。文庫版の装丁もさわやかで良いですよね。色々な世界が詰まっていて、不思議な世界へ誘ってくれる本です。気持ちの切り替えがしたいとき、青空の下で読みたいなあと思います。
知っている?外での読書も、とっても気持ちが良いんですよ!
菅野眞博:柳下さんが言ってくれているように、このブレンドは芳ばしさと甘さが混在しており爽やかな酸味も残すように設計していました。
季節の変動とちょうど同じように、珈琲の味も温度によって印象が変わります。季節の変化、味の変化も感じながら柳下さんが選んでくれたgiftを楽しんでくれれば、珈琲のもつ意味というのがより生かされると思います。
エルサルバドル産のコーヒーを選んだのは、ナッツの様な芳ばしい風味が優しくも印象的に残るからです。短編集の様に次から次へと変わる風味の変化を楽しんでいただけたら幸いです。
本の中身公開 No.9「春眠」
本の中身公開 No.9「春眠」
背表紙
テーマ
春眠
販売期間
2018.4.19~2018.5.12
白河夜船
著者:吉本ばなな 出版社:集英社
珈琲
綿菓子の様なふわっと口になじむ甘みの穏やかな風味の中に、爽やかでフローラルな香りが広がります。さくら、いちご、もも、複雑な風味は春の息吹を思わせます。

甘味 ●●●●〇
酸味 ●●●○○
苦味 ●●●○○
香り ●●●●〇
開発裏話
柳下恭平:春には文庫本がいいなって思っていました。
内にこもるよりも、外にふわふわ出たいからです。そして、どこでも読み始められる没入のしやすさと、いつでも読み終われる親しみの文章、さらに、読んでいる合間にまどろみのような文体がいいなって思っていました。さて、そんな本、あるだろうか?なんて言いながら、すぐに思いついたのがこの本です。とても、好きな本です。何度でも読んでしまいます。
菅野眞博:今年の桜はあっという間に過ぎ去ってしまいましたが、なんだか、まだ、春を感じていたいと思い、このテーマを思いつきました。一年でいちばんよい季節をまだまだ愉しんでいたい。そんな気持ちが「春眠」の味わいを生み出しました。華やかな味わいのなかに、ふんわりとした甘さを感じる。
春のまどろみもそんな気持ちになりますよね。
本の中身公開 No.10「無言」
本の中身公開 No.10「無言」
背表紙
テーマ
無言
販売期間
2018.5.15~2018.6.15
月と博士
著者:坂田靖子 出版社:白泉社
珈琲
グアテマラ、エチオピア
バランス感のあるグアテマラの奥深い味わいをベースに少し酸味を残すように焙煎したエチオピアの風味が明るい印象を与えます。

甘味 ●●●●〇
酸味 ●●●○○
苦味 ●●●○○
香り ●●●●〇
開発裏話
柳下恭平:今回のテーマは、無言(しじま)。読書をしている最中も、無言ですよね。(読み上げたり読み聞かせたりもあるけど。)自分の世界に入り込んでいる時って、周りから見たらきっと静か。その動と静のギャップが面白いなと思います。
さて、実は、ふくろう文庫の中にはけっこう漫画が入っています。恋愛からSF、青春ものまで、いろいろなジャンルを取り揃えていますが、坂田靖子さんの漫画は一つのジャンルで括ることができない、不思議な作品です。余韻の残し方が美しく、読んだ者を静にする瞬間がたしかにあるのです。そのとき、本当の意味での無言(しじま)を体現できるのだと思うのです。
菅野眞博:無言(しじま)というテーマにしたのは、珈琲をじっくりと味わってもらいたいからです。今回のブレンドにはイルガチェフェを少量しか混ぜていません。それは、個性の強調というより、むしろ余韻の中にふと感じる風味を表現したかったからです。グアテマラの甘味と角のない酸味は珈琲の質感をジューシーにしてくれますが、珈琲を意識的にじっくり飲むことでしか得られないイルガチェフェの香りを感じ取るという行為を楽しんでいただけたらと思いブレンディングしました。
本の中身公開 No.11「変化」
本の中身公開 No.11「変化」
背表紙
テーマ
変化
販売期間
ホーリーガーデン
著者:江國香織 出版社:新潮文庫
珈琲
グアテマラ、エチオピア
グアテマラの爽やかな香りにエチオピアのナチュラル感のあるベリーやオレンジの風味が、まるでアジサイの色彩の様に感じられます。

甘味 ●●●●〇
酸味 ●●●○○
苦味 ●●○○○
香り ●●●●〇
開発裏話
柳下恭平:今年の東京は梅雨っぽさがあまり感じられず、この時期は気温が高い日が続いていたので爽やかな読み口の小説がいいなあと考えていました。すると菅野さんから、爽やかな香りのブレンドが。梟叢書の中でもとびっきり 爽やかできらきらした小説だと思っていたら、いつもふくろう文庫を担当してくれている梟書茶房のチームの女の子が「私もこの小説好き好き!」と嬉々として話してくれたので思ったとおり夏への季節の変わり目にぴったりだな、と思いました。
菅野眞博:珈琲の愉しみ方は人それぞれだと思います。抽出方法、味の濃さ、風味、温度などなど。変化を与える要素は様々あります。
私たちが提案する珈琲の変化は、風味の変化です。沸騰したお湯で抽出した珈琲はどの抽出方法よりも高温で珈琲を抽出できます。
熱々のとき、ちょっと冷めたとき、飲みやすい温度になったとき。その一瞬一瞬で珈琲の風味が変わっていく様子がアジサイの色彩の移り変わりのように思えて今回のブレンドを作りました。エチオピア産のナチュラル処理されたコーヒーは本当にフルーツを加えたかの様な印象を与えてくれる、これまた趣のある珈琲です。

NEWS

お知らせ

FLOOR MAP

フロアマップ
【エレベーターからお越しの方】
降りてすぐ目の前はシークレットブックを販売する本屋になります。
カフェをご利用の方は本屋を真っ直ぐ進んでいただき突き当り左のカフェ入口までお越し下さい。

ACCESS

アクセス
本と珈琲 梟書茶房(フクロウショサボウ)
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola(エソラ)池袋 4F
10:30~22:00(L.O.21:30)
TEL:03-3971-1020
※ご予約は承っておりません