社長メッセージ

ドトールコーヒーは、「こだわりと革新」の飲食業であり、立地創造業であり、幸福創造業である。

代表取締役社長 星野正則

ドトールコーヒーは立地創造業

ドトールコーヒーは「商品の魅力」「店舗の魅力」「人の魅力」という商売における3つの魅力を徹底的に高めることで、いつの時代も成長し続けることができると考えています。創業者の鳥羽博道が説いた言葉ですが、独自の「こだわり」の文化とともに、今もなお受け継がれています。
私は新卒採用の二期生としてドトールコーヒーに入社。役員を任されるまで20年以上にわたり店舗開発に携わってきました。店舗開発はこの「3つの魅力」という柱を、最も良い地盤に立てる仕事といえます。地盤が良ければ柱はぐらつかず、ビジネスの成功率は高まります。
同時に、ドトールのようなチェーンストア企業の場合、会社を成長させるためには出店数を増やすことが求められます。例えば、ガソリンスタンドでは従来、飲食店の併設は認められていませんでしたが、条件を満たせば敷地の中で飲食店が展開できるように法律が改正されました。早速ガソリンスタンドが全国に何店舗あるのか調べると想像以上に多く、この立地にドトールコーヒーショップ(DCS)を併設すれば、店舗数も業績も格段に伸びると考えました。そして、大手石油会社に共同事業を提案、パートナーシップを組むことが決まり、「車にエネルギーを、そしてドライバーには活力を」提供する新たなサービスステーションとして99店舗まで広げることができました。
現在では、駅前、商店街、オフィス街、オフィスビルに限らず、病院、空港など、さまざまな立地創造を行い、立地に合わせた業態も開発しています。大変おこがましい言い方ですが、「人の集うところにドトールあり」から「ドトールあるところに人が集う」に進化させ、会社の成長を牽引していきたいと思っています。

リブランド、派生業態、新業態も続々と

DCSは1号店の登場から30年以上が経過し、おかげさまで1100店舗を超えるチェーンに成長しました。安定的に成長してはいるものの、当時と現在では世代も変わり、お客様の嗜好も変化しています。リブランディングにおいては、DCS=クリーンなイメージが必要だと思いました。お客様が持たれていた狭い、煙草臭いといった印象を、完全に払拭したいと考え、清潔感を強く印象づける「白」をイメージカラーとして打ち出しました。リロケーションや増床も行いゆったりくつろげる、広い店舗へと切り替える活動を続けています。

エクセルシオール カフェ(EXC)は、90年代に台頭してきたシアトル系のカフェに対抗するために生まれた業態です。しかし進化したDCSとの差別化があいまいになってきたため、DCSにはない要素(メニュー、サービス、雰囲気)をより洗練させることで、若い女性などDCSとは異なる嗜好のお客様にも入りやすい業態に変えていこうと考えました。競合と考えていたシアトル系は意識せず、DCSと違ったポジショニングや、独自性のあるコンセプト「価値ある時間(とき)」の提供を通じてワンランク上のクオリティを提案し、EXCの存在価値を高めたいと思っています。
また、DCSから派生した業態として、フードの代表格でもあるジャーマンドックをメインにした「ジャーマンドックカフェ」、犬連れのお客様を対象とした「ドッグカフェ」、サードウェーブコーヒーの流れをくんだ新業態として「カフェ レクセル」を新たに開発し、時代が求める「やすらぎと活力」のかたちを多彩に表現しています。

コストシナジーから営業シナジーへ

多業態でレストランチェーンを展開する日本レストランシステムとドトールコーヒーが経営統合して10年が経ちます。私は持株会社のドトール・日レスホールディングスの社長も9年間務め、両社のシナジーを高める活動を行ってきました。
コストシナジーに関しては、経営統合によってある程度成果が見られました。例えば、食材を分類すると、同じような食材を別々に仕入れていたので、これを一本化することで、ボリュームディスカウントできます。給与計算など管理部門の統合もコストダウンに貢献します。
そして今、私が課題としているのは、営業シナジーを高めることです。日本レストランシステムが展開する「星乃珈琲店」は、その典型的な成功例です。「星乃珈琲店」は、レストランのメニュー開発、ロードサイド店舗運営のノウハウに長けた日本レストランシステムと、コーヒーへのこだわり、優れた焙煎技術を持つドトールコーヒーという、両社のメリットを活かした業態です。2011年3月のオープン以来、国内・海外を含め200店舗に迫る勢いで成長しています。
ドトールコーヒーにおいても、現在、立地選択からサービスの提供方法まで、全く新しい業態開発を進めています。

企画力が問われる営業部門

私たちは創業時より、コーヒー豆を飲食店や食品メーカーに納入する一般卸売営業を続けています。営業部門はドトールのルーツといえます。コーヒーは変わらず商材の核ですが、単にコーヒー豆を焙煎して卸すビジネスは、競合他社との価格戦争に陥りがちです。そこで私たちは「企画力」を武器に対抗していこうと考えました。
現在は、大手飲料メーカー、製菓メーカーとのコラボレーションを積極的に展開し、チルド商品、ドライ商品、ペットボトル商品といったコーヒー飲料を核にしながら、果汁飲料、スムージー、緑茶、デザート類まで多彩な商品を企画・開発し、多くのノウハウを積んでいます。取引先もコンビニ各社、スーパー、量販店、生協、さらに海外まで拡大しています。モノを売るという以上に、コトを生み出す力が求められる、それがドトールの営業部門です。社内にこうした食品メーカー的な企画・開発機能を有することは、ドトールの大きな強みとなっています。

発展著しいアジア市場への進出

海外を視野に入れたビジネスは、今後いっそう注力していきたいと考えています。
現在、ドトールブランドのチルドコーヒー、缶コーヒー、アイスクリーム、ジュース、紅茶などの飲料は、海外の様々なメーカーとのコラボレーションにより開発されています。そして販売された商品のすべてが、その国の販売記録を抜くヒットをしており、非常に勢いのある事業分野です。われわれには、徹底したこだわりに基づく「ドトールクオリティ」というものが常に存在します。そして、どんな環境の中でも高品質な商品を開発できる力が、海外でも実証でき得ています。コーヒーといえばドトール、高品質といえばドトールという強いブランドに仕上げ、よりグローバルな市場への攻勢を考えています。
店舗展開においては、現在、台湾に3店舗、シンガポールに1店舗、マレーシアに4店舗のDCSを展開するほか、中国においても、現地の大手外食企業と合弁契約を締結しました。海外展開は始まったばかりであり、発展著しいアジアは有望な市場です。現地のライフスタイル、おいしさの基準、求めるものを深く学びながら、着実に現地で愛される店舗を増やしていきます。

イノベーションが生まれやすい企業体質に

会社として新しいものを生み出していくには、社員の意識を変えることが大切であり、未来の成長を考えた場合、イノベーションを継続できる企業体質でなければなりません。イノベーションというと、大きな変革を考えがちですが、店舗のオペレーションマニュアルの改善提案など小さなイノベーションも含めて、誰もが会社に対して提言・提案しやすい環境を作りたいというのが私の考えです。
ドトールは「東京ガールズコレクション」や「MotoGP(ロードレース世界選手権)」などへのブースの出店を、若手チームに任せています。店舗における既存のルールに従わなくてもよく、プライスやメニューに関してもある程度の裁量を与えています。お客様を楽しませ満足させるために、自分がやってみたい面白いこと、店舗ではできない新しいことを実行し、仲間とともに小さなイノベーションを起こしてもらうことが狙いです。利益は全く求めていませんが、出店回数を重ねるごとに売上や集客の実績も伸びており、成果として現れていることが嬉しく思います。

自発的な思いを伴った社会貢献を

省エネやリサイクルなど環境への取り組み。渋谷駅周辺の美化活動、震災における義援金協力やボランティア活動など地域社会への貢献。日本で働きたいと考える留学生支援機構への支援。CSR(企業の社会的責任)活動には力を入れるとともに、ドトールらしい貢献のあり方を模索しています。また、難しいことですが、社員の皆さんが、自発的に行いたいと思える社会貢献でなければ、本当の意味でのCSRではないと思っています。
そんな中、聴覚に障がいを持つ社員の方が、累計730名を対象に手話の講師を務める活動を、自ら進んで行っていることを知りました。ハンディキャップの有無に関わらず、これは人間として素晴らしい行為です。会社としても“素晴らしい”だけで終わらせてはならないと思い、表彰することにしました。CSRのマインドを育むためには、こうした自発的な行動を一つ一つ評価し、会社として認める姿勢を持たなければならないと思っています。

ドトールコーヒーは幸福創造業

「一杯のおいしいコーヒーを通じて、お客様にやすらぎと活力を提供する。」これは、ドトールの企業理念の言葉です。企業理念は会社のあるべき姿をシンプルに表現した言葉であり、事業として目指すべきものを象徴しています。ドトールに入社し経験を積み、この理念を実践の中に置き換えた時、きっと企業理念の大切さが実感として理解できるようになるでしょう。自分の決断が「やすらぎと活力を提供する」ことにつながるのか。仕事において、何を最優先すべきか判断に迷った時は、企業理念を指針に行動しています。
ドトールはコーヒーを主軸とした商材を活用し、「やすらぎと活力」を与えることによって人を幸せにする「幸福創造業」でもあると考えています。お客様、地域社会、そして従業員に対しても幸福を創造することができ、一人ひとりが仕事に誇りを持って働ける会社にしていくことが、私の大きな使命であると感じています。